「ブルキナファソの暑い夜」
私は町の食堂で疲れた体を癒すため一本のビールと食事をとる
周りにもたくさんの人たちがいて汗をぬぐいながら黙々と食べている
この人たちも疲れているのかな
貧困の中に生きていることに疲れるのかな
明日(あした)の事、わからない
未来(あした)のこと、考えない
そのとき君は私の前に来て食べ残しをねだったね
私は少し困惑しながらうなずくと
君は屈託の無い笑顔でトマトソースの空き缶に素早く放り込む
10才くらいかな
「おじさん皿を片付けてあげるよ」、「ありがとう」君との会話はこれだけ
君が皿を持って店のお兄さんに渡そうとすると
彼は様子をずっと見ていたのか空き缶の中を見せろといった
君が空き缶を隠そうとすると彼は思い切り君の頬をたたいたね
彼は何度も何度も君を殴り続けた
君は小脇に抱えたあき缶をひたすらかばいながら殴られるのをこらえ続けた
そのとき君は遠くを一点見つめていたね
顔をゆがめもせず
「やめなさい、私があげたんだから」と店の人に言おうとしたが言えなかったんだ
なぜなら君たちがそこに何時も来ると店が困るから
君が殴られ続けていたときに君がじっと見ていたものは何
私はそこに目を向ける、と
君よりも小さい子供たちが座り込んで心配そうに君を見ていたんだね
君は殴られた後無表情で彼らのところに重い足取りで歩み寄る
君はそっと空き缶を差し出すと、
そこに小さな手がたくさん伸びてきた
中にはそんなに入っていないのに
君は空き缶を差し出したあと緊張が解けたのか、体が痛いのか
君は地べたに座り込んでうつろに夜空を見上げていたね
ブルキナファソの暑い夜
